Japanese
English
特集 ここまでわかった細胞老化と腫瘍
がんにおける細胞老化の多彩な機能
Various features of cellular senescence in cancer
宮田 憲一
1
,
高橋 暁子
1,2,3
Kenichi MIYATA
1
,
Akiko TAKAHASHI
1,2,3
1公益財団法人がん研究会がん研究所細胞老化プロジェクト
2国立研究開発法人科学技術振興機構さきがけ
3国立研究開発法人日本医療研究開発機構PRIME
キーワード:
がん
,
細胞老化
,
therapy-induced senescence(TIS)
,
細胞老化関連分泌形質(SASP)
,
細胞外分泌膜小胞(small extracellular vesicle)
Keyword:
がん
,
細胞老化
,
therapy-induced senescence(TIS)
,
細胞老化関連分泌形質(SASP)
,
細胞外分泌膜小胞(small extracellular vesicle)
pp.149-153
発行日 2021年4月10日
Published Date 2021/4/10
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27702149
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がんは40歳をすぎると罹患率が急激に上昇する加齢性疾患であり,近年その原因のひとつとして細胞老化の関与が明らかになりつつある.細胞老化は,生体においてがん抑制機構として働くことが知られているが,細胞老化を起こした細胞(老化細胞)にさらなる遺伝子変異が起こると,増殖停止状態を乗り越えて,発がんへと至る可能性が示唆されている.興味深いことに,がん治療の過程でも,がん細胞やがん間質細胞において細胞老化様の形質変化が起こることが報告されている.そこで,老化細胞へ選択的に細胞死を誘導できるsenolytic薬の投与によって,細胞老化様の形質を獲得したがん細胞や間質細胞を標的とする新しいがん治療戦略が期待されている.細胞老化の分子機構と多彩な機能を理解し,それを制御することは,深刻な高齢化社会を迎えたわが国において重要な課題である.本稿では,がんにおける細胞老化研究の最新の知見を概説する.
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