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第5土曜特集 マルチオミクスが解き明かす疾患の本質――統合的アプローチによる新たな知見
疾患別マルチオミクス解析の最新動向
【がん】
大腸がんにおけるがん微小環境(炎症機構・免疫寛容)の解明
Molecular target therapy for genomic altered colorectal cancer
三森 功士
1
Koshi MIMORI
1
1九州大学病院別府病院外科
キーワード:
大腸がん
,
がん微小環境
,
空間的シングルセル解析
,
免疫寛容
,
治療標的
Keyword:
大腸がん
,
がん微小環境
,
空間的シングルセル解析
,
免疫寛容
,
治療標的
pp.796-803
発行日 2025年5月31日
Published Date 2025/5/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293090796
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大腸がんは多様性の創出で難治性を呈するが,治療抵抗性を解明するには,がん微小環境の役割を理解することが重要である.筆者らは,散発性大腸がんのゲノム解析に基づいた先行研究で,多様性を生み出す進化の選択圧としてがん微小環境が重要であり,治療標的のドライバーとなりうることを明らかにした.その後の技術革新により,シングルセル解析および空間的転写産物解析の統合が可能となり,進行大腸がんの上皮細胞と特に免疫細胞などとの包括的相互作用を解明した.また,大腸腺腫においても免疫寛容の誘導メカニズムを解明し,治療標的を明らかにした.このように,がん微小環境の中で腫瘍の進化に影響を与えうる免疫応答や炎症機構について,従来は病理所見から類推する他なかったが,空間的シングルセル解析が定量的評価を可能にした.本稿では,自験例を含め大腸がんを対象に解析した報告を紹介する.

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