特集 SASP:古くて新しい細胞老化随伴分泌現象
T細胞におけるSASP誘導のエピジェネティック制御
山下 政克
1
1愛媛大学 大学院医学系研究科免疫学
キーワード:
シグナルトランスダクション
,
ホメオスタシス
,
T細胞
,
CD4陽性T細胞
,
細胞老化
,
細胞増殖
,
エピジェネティックプロセス
,
BACH2 Protein
,
Menin
,
免疫老化
Keyword:
Immunosenescence
,
Homeostasis
,
T-Lymphocytes
,
Signal Transduction
,
CD4-Positive T-Lymphocytes
,
Cellular Senescence
,
Epigenesis, Genetic
,
Cell Proliferation
,
BACH2 Protein, Human
pp.1152-1156
発行日 2015年11月22日
Published Date 2015/11/22
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長期間にわたって繰り返される抗原の侵入はT細胞の過剰な増殖を招き,それがT細胞老化の促進要因となることが報告されている.老化したT細胞は,機能が低下するだけでなく,様々な炎症性因子を発現し,SASP様の形質を獲得する.T細胞をはじめとした免疫担当細胞のSASPが誘発する前炎症状態は,インフラメージングとも呼ばれ,加齢に伴う自己免疫疾患,神経変性疾患,心血管疾患や,発がんの増加と密接に関連していると考えられている.しかし,T細胞老化の定義はいまだ完全には確立されておらず,SASP誘導の分子機構についても未知な部分が多い.本稿では,T細胞老化の特徴について概説するとともに,最近筆者らが明らかにしたT細胞SASPのエピジェネティックな制御について紹介する.
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