特集 美しく老いるために―高齢化に備える皮膚科診療
第Ⅰ章 高齢者診療で必要な基礎知識
3 老化の発症機序
-❶老化の分子機構
川口 耕一郎
1
,
丸山 光生
1,2,3
Koichiro KAWAGUCHI
1
,
Mitsuo MARUYAMA
1,2,3
1国立長寿医療研究センター,老化機構研究部
2同,副所長
3名古屋大学大学院医学研究科,老化基礎科学講座
キーワード:
細胞老化
,
個体老化
,
細胞老化随伴分泌現象
,
老化細胞除去薬
Keyword:
細胞老化
,
個体老化
,
細胞老化随伴分泌現象
,
老化細胞除去薬
pp.751-757
発行日 2018年5月31日
Published Date 2018/5/31
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000000755
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世界に比類ない長寿国であるわが国において,健やかに老いることは高齢者のみならず,国民全体の目標である。一方で老化そのものは病気と捉えず,認知症をはじめとするさまざまな老年疾患の最大のリスクファクターとして考えることで,個体のなかでの老化のしくみ,メカニズムを基礎研究の視点から明らかにすることの重要性が再認識される。細胞老化という概念,組織,個体の老化とのつながりに関して分子レベルの基礎老化研究がこの半世紀余りの間に飛躍的に積み上げられてきた。複製老化として知られるテロメアの短縮やストレスによる癌抑制機構としての細胞老化,細胞レベルの老化に関わる細胞周期の調節機構,さらには老化のマーカー遺伝子とその機能について概説した。また,後半では細胞老化と個体老化の関連についての最前線ともいえる細胞老化随伴分泌現象(SASP)やsenolytic薬を用いた老化研究の現状と今後の方向性についてもまとめた。
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