特集 自然消褪する皮膚病
臨床例
肝細胞癌に対しソラフェニブ(ネクサバール)投与中に出現した好中球性皮膚症
西本 知子
1
,
池上 隆太
1地域医療機能推進機構大阪病院 皮膚科
キーワード:
Indomethacin
,
Steroids
,
肝細胞癌
,
鑑別診断
,
天疱瘡
,
経口投与
,
経皮投与
,
皮膚疾患-小胞水疱性
,
Sorafenib
,
毛包炎-好酸球性膿疱性
Keyword:
Administration, Cutaneous
,
Administration, Oral
,
Diagnosis, Differential
,
Carcinoma, Hepatocellular
,
Indomethacin
,
Pemphigus
,
Skin Diseases, Vesiculobullous
,
Steroids
,
Sorafenib
pp.475-478
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.24733/J01268.2016298349
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49歳男性。進行期肝細胞癌に対するソラフェニブ投与中に体幹および顔面に小水疱、小嚢胞を伴う紅斑が出現したため、精査加療目的で著者らの施設へ紹介となった。初診時、病理組織像からはIgA天疱瘡、好酸球性膿疱性毛包炎等が考えられた。一方、皮疹出現前と比べ好中球優位の白血球増多や炎症反応の上昇ほか、肝機能増悪が認められた。以上、これらの所見を踏まえて、そう痒感に対しては抗ヒスタミン薬の全身投与を行い、顔面や体幹にはそれぞれmedium、very strongクラスのステロイド外用を行った。その結果、患者が顔面の刺激感を訴えたため、インドメタシン外用に変更したが、治療開始4日後より体幹の紅斑はほぼ消退し、1週間後には頬部以外の顔面の紅斑も速やかに消退した。更に2週間後には左右頬部へステロイドとインドメタシン外用の塗り分けを行ったが、治癒経過は同様であった。以後、皮疹軽快と共に白血球数、炎症反応、肝機能も改善した。尚、臨床経過より、本症例は肝細胞癌に対するソラフェニブ投与中に出現した好中球性皮膚症と考えられた。
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