先天性胆道拡張症術後膵内遺残胆管

はじめに

　先天性胆道拡張症（congenital biliary dilatation：CBD）の治療には手術が必須であり，膵液と胆汁の流出路を分離し拡張胆管を可能な限り切除することが重要であり，標準術式として確立されている。術後経過はおおむね安定していることが多いものの，時に続発症への対応に苦慮する症例も存在している^1）。CBDにおける術後合併症は，早期合併症（出血・創部感染・縫合不全・膵液瘻・イレウス）があり，その頻度は10％程度とされている^2）。一方で，晩期合併症には，15％程度で胆管炎・肝内結石や膵石・膵炎，遺残胆管や同部位の発がん，イレウスなどが発症するとの報告がある^3）。本稿では，これらの合併症のなかでも，膵内遺残胆管に焦点を当てて論じることとする。