特集 教科書にない小児外科疾患の最新情報―国内外の文献・ガイドラインから―
胆道閉鎖症
大久保 龍二
1
,
和田 基
1
,
佐々木 英之
2
,
仁尾 正記
3
Ryuji Okubo
1
,
Motoshi Wada
1
,
Hideyuki Sasaki
2
,
Masaki Nio
3
1東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座小児外科学分野
2宮城県立こども病院外科
3国家公務員共済組合連合会東北公済病院
pp.607-609
発行日 2024年6月25日
Published Date 2024/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000850
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はじめに
胆道閉鎖症(以下,本症)は新生児期~乳児期早期に発症し,原因不明の硬化性炎症により肝外胆管が閉塞し肝から十二指腸への胆汁排泄の途絶をきたす,最も代表的な小児の肝胆道疾患である。外科的治療法である葛西手術の成績は時代とともに向上し,さらに1980年代以降に肝移植が普及したことで本症の予後は著明に向上している。わが国においては,2018年に『胆道閉鎖症診療ガイドライン』(以下,ガイドライン)1)が発行され,診断・治療の標準化がはかられている。しかし,病因はいまだ解明できておらず,診断や治療上の課題に加え,長期自己肝生存例における合併症の問題が顕在化してきている。
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