特集 小児がん診療の新展開
各論 小児がんに関連する診療の新展開
新薬開発
荒川 歩
1
Ayumu Arakawa
1
1国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科
pp.1469-1472
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002764
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はじめに
小児がんの罹患数は,15歳未満で2000〜2500人/年,19歳までで3000人/年と成人がんと比べると非常に少ない。造血器腫瘍が約40〜45%,脳脊髄腫瘍が約25%を占め,残りを脳腫瘍以外の固形腫瘍が占めるが,全体の症例数は少ないものの,種類は非常に多い。採算を取りにくいこともあり,小児がんを対象とした分子標的薬の開発は行われにくい。昨今,海外で開発された医薬品の日本での承認が大幅に遅れる「ドラッグ・ラグ」のみならず,海外で承認された小児医薬品の開発が日本で行われないことにより日本に入ってこない「ドラッグ・ロス」が問題となってきている。実際,2023年4月時点において欧米では承認されているが国内開発未着手の医薬品86品目のうち,希少疾病用医薬品が47%,小児用医薬品が37%を占めている1)。

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