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患者本位への転換を迫られる新薬開発の統一基準
根本 悦子
1
1出会いの医療をつくる会
pp.6-7
発行日 1996年1月25日
Published Date 1996/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903387
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相変わらず頻発する薬害
一昨年,抗癌剤との併用で発売後に16人もの死者と23人の副作用被害を出した抗ウイルス剤ソリブジンの薬害事件は,大変痛ましく残念な出来事だった。こんなことが起きないようにと厚生省は「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」(GCP)を90年から施行していたはずである。しかしそれが守られてはいなかったようだ。また守られていたとしても,日本のGCPは米国などに比べると,インフォームド・コンセントに関しては十分ではないので,うまく機能したかどうかは分からない。
95年も相変わらず薬害が起きている。肝炎の新薬で2人が死亡(4月),抗癌剤で激症肝炎を引き起こし3人死亡(4月),排卵剤で治療後脳血栓(7月),高血圧薬で肝障害2人死亡(9月),子宮内膜症治療薬ダナゾールで1人副作用死(10月),解熱鎮痛用メフェナム酸の投与で4人死亡(11月)などである。とくに抗癌剤の塩酸イリノテカンについては,副作用死の疑いが残る死亡例が延べで55例あるという(94年11月)。
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