特集 ここまで来た! 新生児マススクリーニングと対象疾患の治療
以前からの対象疾患―再検査,精密検査,そして治療
有機酸代謝異常症
池谷 紀衣子
1
,
坊 亮輔
1
IKETANI Kiiko
1
,
BO Ryosuke
1
1神戸大学医学部附属病院小児科
pp.1777-1781
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002161
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はじめに
有機酸代謝異常症では,主にアミノ酸の代謝経路における酵素異常により,中間代謝産物である有機酸が蓄積する。蓄積した有機酸やその代謝産物により,さまざまな臓器障害をきたす。臨床病型は発症前型,急性発症型,慢性進行型の3つに分類される。急性発症時の症状は非特異的で,多呼吸,呼吸障害,嘔吐,意識障害などをきたし,短時間で死にいたることもある。哺乳開始によるタンパク負荷で新生児期に発症する場合と,感染や経口摂取低下で乳幼児期に発症する場合がある。特徴的な生化学所見としては,アニオンギャップ開大性代謝性アシドーシス,高アンモニア血症,低血糖などである。一方,慢性進行型は乳幼児期から反復性嘔吐や食思不振などがあり,感染などを契機に症状が悪化する。成長障害や精神運動発達遅滞を認める場合もある。
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