特集 酸塩基平衡異常―基本と管理
各論 代謝性アシドーシスの病態と治療
有機酸代謝異常症
高野 智圭
1,2
,
石毛 美夏
1
TAKANO Chika
1,2
,
ISHIGE Mika
1
1日本大学医学部小児科学系小児科学分野
2日本大学医学部病態病理学系微生物学分野
pp.1103-1107
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001762
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
先天性代謝異常症とは,単一遺伝子変異により酵素蛋白が量的・質的異常をきたし,代謝産物が異常蓄積もしくは欠乏する疾患群である。代謝性アシドーシスは本疾患群を疑う契機となることが多い。とくにアニオンギャップ(AG)開大を伴う代謝性アシドーシスでは不揮発性酸の蓄積を鑑別に挙げ,有機酸代謝異常症を想起する必要がある。有機酸代謝異常症はアミノ酸の中間代謝過程の先天的酵素異常によって,中間体である有機酸が体内に蓄積し,臓器に障害をきたす。1966年にガスクロマトグラフィー質量分析を用いてイソ吉草酸血症が同定,報告されたことを受けて,1970年代を中心に多くの疾患が報告され,現在では7種類の有機酸代謝異常症がタンデムマス法による新生児マススクリーニング(NBS)の対象疾患となっている1)。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.