今月の主題 質量分析―新しい臨床検査への展開
各論・LC (GC,MS)-MSの応用
有機酸の代謝異常
久原 とみ子
1
Tomiko KUHARA
1
1金沢医科大学総合医学研究所人類遺伝学研究部門化学
キーワード:
有機酸代謝異常症
,
安定同位体希釈法
,
簡易ウレアーゼ法
,
キャピラリーGC/MS
,
新生児尿スクリーニング
,
試験研究
Keyword:
有機酸代謝異常症
,
安定同位体希釈法
,
簡易ウレアーゼ法
,
キャピラリーGC/MS
,
新生児尿スクリーニング
,
試験研究
pp.57-67
発行日 2000年1月15日
Published Date 2000/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904293
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有機酸代謝異常症はDNAの異常が原因で,代謝を司る酵素の構造変化や酵素産生量の低下,あるいは補酵素の供給に支障をきたし,酵素反応が著しく障害される結果起こる疾患である.患者尿に顕著に増加する有機酸,アミノ酸,糖アルコールなどの障害された反応の基質や基質の副産物を安定同位体希釈法・簡易ウレアーゼ法・キャピラリーGC/MS法により分析し,障害された反応,したがって,酵素を,次いで,その構造遺伝子の異常を予測し,病名を化学診断できる.プロピオン酸血症,メチルマロン酸血症,フェニルケトン尿症,メープルシロップ尿症など早期に診断し早期に治療開始することが心身障害発症予防に必須である.尿の簡易ウレアーゼ法による新生児スクリーニング試験研究も行われている.
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