特集 楽しくお産・楽しく育児―身体的・精神的・社会的(Biopsychosocial)な課題からみた出産・育児支援
精神的課題
多胎児の育児
稲森 絵美子
1
INAMORI Emiko
1
1東京医科大学病院小児科・思春期科
pp.1760-1763
発行日 2023年12月10日
Published Date 2023/12/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001200
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はじめに
女性が新しいいのちをその胎内に宿し,この世界に産み出し育くんでいくそのプロセスは,人がその人生のなかで経験することのなかでも特に,クリエイティブな営みだと思う。多胎児の育児では,その喜びが2倍,3倍になる一方で,特に産後1,2年までの間に母親が経験する身体的,精神的負担は,単胎児の育児の幾倍も大きいことが知られている。多胎児の分娩頻度は,生殖医療の発展に伴い増加しているものの,全分娩数に占める割合は1%前後であって,社会のなかにあってはマイノリティーである。しかし,多胎児の育児について考え支援していくことは,日本社会が抱える育児課題をクリアにし,よりよい支援を考えてくための推進力になるのではないかと思う。
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