特集 楽しくお産・楽しく育児―身体的・精神的・社会的(Biopsychosocial)な課題からみた出産・育児支援
精神的課題
赤ちゃんとの出会いと母子相互作用
永田 雅子
1
NAGATA Masako
1
1名古屋大学心の発達支援研究実践センター
pp.1745-1749
発行日 2023年12月10日
Published Date 2023/12/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001197
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
親と子は出産してから関係が始まるのではなく,子どもが胎内に宿り,親がその存在を意識したときから始まっていく。子どもがおなかの中に宿ったことを病院受診する前に意識することもあるだろうし,妊娠後期に入り,現実的に子どもが生まれてくることを実感し始めてからの人もいれば,子どもと一緒に生活をするようになってから,目の前の子どもとの関係を築いていく人もいるだろう。親となることは,自分とは違う存在である目の前の子どもに関心を向け,交流を積み重ねていくなかで,その子どもと生きていくことを引き受けていくことといえる。胎内にその存在を宿す母親と,父親では子どものことを意識していくようになるプロセスは異なり,里親など,出産を経ずに親子となっていく場合もある。どういった場合であったとしても,目の前にいる唯一の子どものことを知り,相互交流を積み重ねていくことが親と子となっていくことの基盤となっていく。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.