特集 母と子のきずな
いかにして母子相互作用を発展させるか
前田 實子
1
,
藤村 正哲
2
,
藤井 真理子
3
,
小山田 浩子
4
,
杉山 幸丸
5
,
横尾 京子
4
1武庫川女子大学・児童学
2淀川キリスト教病院小児科
3大阪府立看護短期大学
4淀川キリスト教病院
5京都大学霊長類研究所・行動学
pp.572-588
発行日 1978年9月25日
Published Date 1978/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205433
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横尾 現代は母性喪失の時代と言われておりますが,そういった背景には,社会的,家族的あるいは文化的変化に加えまして,分娩の施設化といった要因が潜んでいるように思えます。しかも,施設分娩では,出生直後,母子を分離するといったことが行なわれてまして,そうした中で働いております私どもは,いわば,母性喪失の仕掛人的存在ではないかと思わざるを得ません。それで,どうすれば母子分離の状態であっても母子の相互関係を発展させ得るかと考えるわけです。そこで今日は,幼児の発達心理をご研究なさっておられる前田先生と,それから,人間も動物の一種ですから,人間の母性行動を動物のそれと比較しながら問題解決の糸口を探ってみようということで,霊長類研究所の杉山先生と,この医療の外の分野からのお二人の先生の力もお借りして,話を進めていきたいと思います。
ところで,心理学の分野では新生児をどのようにとらえているのか,心理学の歴史的経緯といったことも含めて,まず前田先生からお話をお聞きしたいのですが,いかがでしょうか。
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