特集 乳幼児健診—その現代的課題を探る
母子相互作用
竹内 徹
1
Tōru TAKEUCHI
1
1大阪府立母子保健総合医療センター
pp.471-474
発行日 1981年6月15日
Published Date 1981/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206331
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■母子相互作用とは
母子相互作用という言葉は,mother-infant interactionにあたる訳語である.すなわち母子相互作用とは,母子関係(mother-infant relationship)を成立させるために,乳児期初期からとくに母子間において,知覚ないし感覚系を通じて情報を交換しながら展開される,行動的・心理的メカニズムと考えられる1)2)."interact" という英語は,act reciprocallyまたはact on each otherという意味であって,二方向性,すなわち一方的な働きかけではなくて,相互的に働き合うという意味を持っている.医学用語としては,薬剤相互間の作用を表わしたり,またfeto-maternal interaction3)として受胎,妊娠,分娩の過程で,母体と胎児間にみられる相互作用を表現するために使用されることがある.
しかし,本来,母子相互作用というのは,主として小児の心理学,とくに発達心理学で多く用いられ始めた用語のようである.本稿では主として周産期から生後1〜2か月までの,なお新生児期と呼んでよい時期4)にみられる母子間の相互作用について焦点をしぼり,その意義を発達心理学的ないし臨床的な問題として考察するものである.
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