特集 楽しくお産・楽しく育児―身体的・精神的・社会的(Biopsychosocial)な課題からみた出産・育児支援
精神的課題
不妊・不育のメンタルケア
小泉 智恵
1
KOIZUMI Tomoe
1
1獨協医科大学埼玉医療センターリプロダクションセンター
pp.1741-1744
発行日 2023年12月10日
Published Date 2023/12/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001196
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はじめに
1978年,世界で初めて体外受精による児が英国で誕生した。以来,不妊治療は世界中に拡大し,わが国でも今や出生児11.6人に1人は体外受精によって生まれている(日本産科婦人科学会,2023年発表)。不妊治療は,わが国ではタイミング指導と人工授精を一般不妊治療,体外受精,顕微授精を生殖補助医療(ART)と分類しているが,国外では卵巣調節刺激を用いた人工授精,体外受精,顕微授精を医療によって補助された生殖医療(medically assisted reproduction:MAR)とよんで区別している。生殖補助医療や医療によって補助された生殖医療では,男性の精液提出,女性の調節卵巣刺激と採卵,胚移植,夫婦にとって妊娠判定を待つ時間1),妊娠判定陰性の経験,長期的に何度も繰り返された陰性判定がストレスを引き起こす2)。
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