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特集 腎性貧血:HIF-PH阻害薬への期待と課題
【各論】
HIF-PH阻害薬とESAの相違点 HIF-PH阻害薬による赤血球造血誘導と鉄利用促進の分子機構
Effects of HIF-PH inhibitors on erythropoiesis and iron metabolism
中井 琢
1
,
鈴木 教郎
1,2
NAKAI Taku
1
,
SUZUKI Norio
1,2
1東北大学大学院医学系研究科 酸素医学分野
2東北大学未来科学技術共同研究センター 酸素代謝制御プロジェクト
キーワード:
エリスロポエチン
,
REP細胞
,
ヘプシジン
,
エリスロフェロン
,
HIF2α
Keyword:
エリスロポエチン
,
REP細胞
,
ヘプシジン
,
エリスロフェロン
,
HIF2α
pp.179-183
発行日 2022年8月25日
Published Date 2022/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000256
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はじめに
赤血球造血因子エリスロポエチン(EPO)は,腎臓尿細管間質に存在する線維芽細胞〔renal EPO producing(REP)細胞〕から低酸素誘導的に産生される。腎障害が生じると,REP細胞の低酸素応答系が破綻し,腎EPO産生能が失われる。その結果,EPO欠乏性の貧血(腎性貧血)が発症する。腎性貧血治療には遺伝子組換えEPO製剤が用いられてきたが,2019年から低酸素応答系を活性化する薬剤〔hypoxia-inducible factor-prolyl hydroxylase(HIF-PH)阻害薬〕が使用されはじめた。HIF-PH阻害薬は,EPO遺伝子のみならず多くの低酸素誘導性遺伝子の転写を活性化するため,副作用の懸念とともに副次的な効果も期待されている。特に,低酸素誘導性遺伝子群は鉄代謝に関連する遺伝子を多く含むことから,鉄利用障害に起因するEPO製剤抵抗性の貧血に対しても,HIF-PH阻害薬はEPO産生と鉄利用の双方を促進することによって優れた貧血改善効果を示すと期待されている。
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