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特集 病因・病態生理から読み解く腎・泌尿器疾患のすべて
Ⅲ.尿細管・間質性・囊胞性疾患
9.ネフロン癆
Nephronophthisis
奥田 雄介
1
Okuda Yusuke
1
1北里大学医学部小児科学
キーワード:
繊毛病
,
一次繊毛
,
シグナル伝達
Keyword:
繊毛病
,
一次繊毛
,
シグナル伝達
pp.139-145
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001013
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1 病因・病態
ネフロン癆は小児期発症の希少疾患で,進行性の腎機能障害を伴う常染色体潜性(劣性)遺伝性疾患である。その発症機序として一次繊毛の異常が関与していることが知られており,繊毛病とよばれる。一次繊毛の異常によりネフロン癆が発症することは遺伝子学的研究の進歩によって明らかとなってきた1)。1990年代に,尿細管上皮の一次繊毛に存在するNPHP1遺伝子がコードし,細胞間シグナル伝達や細胞接着に関与するnephrocystin-1が発症に重要な役割を果たすことが明らかとなった2)。この後,ネフロン癆患者でさまざまな遺伝子変異が発見され,それらがほぼすべて一次繊毛に存在することから現在では一次繊毛の異常がネフロン癆の病態の本質であると考えられている。
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