特集 腎・泌尿器疾患―血尿から移植まで
病因研究・遺伝子診断の進歩
先天性腎尿路異常,ネフロン癆
森貞 直哉
1
MORISADA Naoya
1
1兵庫県立こども病院臨床遺伝科
pp.1197-1202
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001021
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はじめに
小児の慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の原因として,さまざまな先天性疾患,遺伝性疾患が重要であることが報告されている1)。成人を含めたCKDの最大の要因は糖尿病性腎症であるが,小児CKDの最大の要因は先天性腎尿路異常(congenital anomalies of the kidney and urinary tract:CAKUT)である。CAKUTのうち腎低異形成(kidney hypodysplasia:KHD)はCKDの原因としてきわめて重要であるが,時としてネフロン癆(nephronophthisis:NPHP)との鑑別が困難な場合がある。これらはいずれも多くの原因遺伝子が関与する疾患で,そのためかつて遺伝子を一つひとつ解析していたころにはCAKUTやNPHPの原因遺伝子を同定できる症例は限定されていた。近年,次世代シークエンサー(next generation sequencing:NGS)が登場したことで網羅的,包括的な遺伝子解析が可能となり,ゲノム解析技術の革新は腎泌尿器分野でも大きなインパクトを与えている。
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