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特集 腎疾患における臨床研究の進歩
【基礎研究と臨床研究の融合】
腎臓低酸素応答
Response to hypoxia in kidney
石井 太祐
1
,
田中 哲洋
2
ISHII Taisuke
1
,
TANAKA Tetsuhiro
2
1東京大学大学院医学系研究科 腎臓・内分泌内科
2東北大学大学院医学系研究科 腎・膠原病・内分泌内科学分野
キーワード:
HIF
,
HIF-PH阻害薬
,
HIF-2α阻害薬
,
腎性貧血
,
VHL病
Keyword:
HIF
,
HIF-PH阻害薬
,
HIF-2α阻害薬
,
腎性貧血
,
VHL病
pp.347-352
発行日 2022年9月25日
Published Date 2022/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000290
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はじめに
細胞の低酸素環境に対する応答のメカニズムを解明したWilliam G. Kaelin Jr.,Sir Peter J. Ratcliffe, Gregg L. Semenzaの3人の博士に2019年のノーベル医学・生理学賞が贈られた。低酸素応答の主要な制御因子であるhypoxia-inducible factor(HIF)が1995年にSemenza博士によって報告されて以降,今日まで多くの研究が積み重ねられ,近年,新たな腎性貧血治療薬としてhypoxia-inducible factor prolyl hydroxylase(HIF-PH)阻害薬が開発され,わが国では現在5つの薬剤が使用可能となった。さらに,von Hippel-Lindau(VHL)病の細胞を用いて,低酸素環境に応じてHIFの発現量を調節するメカニズムとして重要なVHL蛋白が同定されたが,このVHL病関連腎がんに対する治療薬としてHIF-2α阻害薬が開発され,米国で承認されている。このように,腎臓における低酸素応答に関する研究は,基礎研究・臨床研究を経て実臨床で使用可能な薬剤開発に至っている。
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