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特集 ケトン体による生体制御
ケトン体と低酸素応答
The roles of ketone bodies in hypoxia signaling
武田 憲彦
1
Norihiko TAKEDA
1
1自治医科大学分子 病態治療研究センター 循環病態・代謝学研究部
キーワード:
ケトン体
,
HIF-1α
,
低酸素
,
コハク酸(succinate)
Keyword:
ケトン体
,
HIF-1α
,
低酸素
,
コハク酸(succinate)
pp.1110-1113
発行日 2021年3月20日
Published Date 2021/3/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu276121110
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3-ヒドロキシ酪酸やアセト酢酸などのケトン体は飢餓状態で肝臓から生成され,さまざまな臓器・細胞で代謝される.これらケトン体は細胞内で細胞呼吸の基質として代謝されるが,この反応過程でコハク酸(succinate)が生成される.コハク酸はTCA回路の中間代謝産物としてミトコンドリアで代謝されるだけでなく,signaling metaboliteとしていくつかの細胞内シグナルに関わっていることがわかってきた.このなかには低酸素応答をつかさどる転写因子であるhypoxia inducible factor(HIF)-1αシグナルも含まれており,ケトン体代謝が細胞の低酸素応答を調節する可能性が指摘されている.本稿では,HIF-1α活性調節における代謝シグナルの役割を紹介し,細胞の低酸素応答機構におけるケトン体代謝の意義について概説する.
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