徹底分析シリーズ 酸素:ヒトの強い味方,酸素を理解する!
低酸素応答と低酸素センサー
広田 喜一
1
,
田中 具治
1
Kiichi HIROTA
1
,
Tomoharu TANAKA
1
1京都大学医学部附属病院 麻酔科
pp.238-242
発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100050
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プレコンディショニングという現象がある。吸入麻酔薬,麻薬によるもの(薬理学的プレコンディショニングpharmacological preconditioning)は,麻酔科領域では基礎研究,臨床応用の両面で大いに注目されているが,1986年にMurryらによって報告された,心臓を短時間虚血状態におくとその後の虚血傷害が軽減される現象,つまり虚血性プレコンディショニングischemic preconditioning(IPC)がオリジナルな報告1)である。虚血が何らかの変化を心臓に起こし,その結果一定時間持続するプレコンディショニング現象が成立するということは確かなのだが,何が心臓に起こっているかはいまだによくわかっていない。本稿では,このような現象の背景にあるはずの低酸素を感知する生体システムの解説を試みる。
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