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特集 腎疾患における臨床研究の進歩
【基礎研究と臨床研究の融合】
糖尿病性腎臓病
Pathological lesions and biomarkers predicting kidney prognosis in diabetic kidney disease
山内 真之
1
YAMANOUCHI Masayuki
1
1虎の門病院 腎センター内科
キーワード:
糖尿病性腎症
,
糖尿病性腎臓病
,
バイオマーカー
,
腎病理
Keyword:
糖尿病性腎症
,
糖尿病性腎臓病
,
バイオマーカー
,
腎病理
pp.353-358
発行日 2022年9月25日
Published Date 2022/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000291
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はじめに
糖尿病性腎症/糖尿病性腎臓病は,アルブミン尿と推算糸球体濾過量(eGFR)の2つのバイオマーカーを用いて病期分類が行われる1)。微量アルブミン尿は,顕性アルブミン尿への進展や腎症進展の独立した危険因子であることが知られており,腎症発症の早期診断および腎症進展のバイオマーカーとして日常臨床で広く使用されている。しかしながら,正常アルブミン尿期から腎病理学的変化はすでに起こっており,そのいくつかの腎病理学的変化が腎予後に関連していることが報告されていることから2,3),微量アルブミン尿の出現をもって腎症発症とすることには異議が唱えられている。また,集約的治療の普及に伴い腎症の進展様式は多様化してきており,アルブミン尿だけでは腎症進展を予測することが困難になってきている。例えば,最終的には顕性アルブミン尿を呈することが多いものの正常アルブミン尿期から腎機能が急速に低下していくrapid declinerの症例,治療介入により微量アルブミン尿・顕性アルブミン尿が減退あるいは正常アルブミン尿に寛解する症例,顕性アルブミン尿を伴わずにGFRが低下する症例など,アルブミン尿とGFRとの乖離を示す症例の存在が明らかになっている4)。
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