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特集 腎性貧血:HIF-PH阻害薬への期待と課題
【各論】
国内で使用されるHIF-PH阻害薬5剤の特徴
The characteristic of 5 HIF-PH inhibitors which used in Japan
倉賀野 隆裕
1
KURAGANO Takahiro
1
1兵庫医科大学 循環器・腎透析内科学
キーワード:
key words
,
腎性貧血
,
HIF-PH阻害薬
,
慢性腎臓病
Keyword:
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,
腎性貧血
,
HIF-PH阻害薬
,
慢性腎臓病
pp.223-227
発行日 2022年8月25日
Published Date 2022/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000264
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はじめに
2019年に初の経口腎性貧血治療薬として低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬が国内ではじめて承認され,臨床使用が可能となった。その後4剤のHIF-PH阻害薬が販売され,現在はそれらの多くが長期使用も可能となっている。HIF-PH阻害薬は,内因性エリスロポエチン(EPO)の産生を誘導し造血を促す。さらに鉄調節因子であるdivalent metal transporter 1(DMT1),duodenal cytochrome B(DCytB),トランスフェリン,トランスフェリン受容体(TfR)などの生体内で鉄の輸送・吸収を調節する遺伝子を誘導することにより,貯蔵鉄の有効な造血への利用を促し,消化管からの鉄の吸収を亢進させる環境を作る1)。HIF-PH阻害薬は,従来の腎性貧血治療薬とは異なる作用機序で貧血を改善させるため,鉄利用障害を伴う患者や赤血球造血刺激因子製剤(ESA)低反応を伴う患者への有効な貧血改善効果が期待されている。一方で,本剤が有する多面的機能により悪性腫瘍,糖尿病網膜症・加齢黄斑変性症,肝機能異常,高血圧,高カリウム血症,血栓塞栓症,血管石灰化,肺高血圧症・心不全,囊胞の増大,糖・脂質代謝への影響などが懸念されている2)。
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