Japanese
English
特集 遺伝性消化管疾患の内視鏡診療
遺伝性びまん性胃癌
Hereditary diffuse gastric cancer: HDGC
岩泉 守哉
1,2
,
山田 英孝
3
,
大澤 春萌
2
,
瀬川 麻美
2
,
小泉 圭
4
,
馬場 聡
5
,
大澤 恵
6
,
新村 和也
3
,
竹内 裕也
7
,
杉本 健
8
Moriya Iwaizumi
1,2
,
Hidetaka Yamada
3
,
Harumo Osawa
2
,
Asami Segawa
2
,
Kei Koizumi
4
,
Satoshi Baba
5
,
Satoshi Osawa
6
,
Kazuya Shinmura
3
,
Hiroya Takeuchi
7
,
Ken Sugimoto
8
1浜松医科大学医学部附属病院検査部
2浜松医科大学医学部附属病院遺伝子診療部
3浜松医科大学医学部腫瘍病理学講座
4浜松医科大学医学部外科学第一講座
5浜松医科大学医学部附属病院病理診断科
6浜松医科大学医学部附属病院光学医療診療部
7浜松医科大学医学部外科学第二講座
8浜松医科大学医学部内科学第一講座
キーワード:
遺伝性びまん性胃癌
,
上部消化管内視鏡検査
,
遺伝医療
Keyword:
遺伝性びまん性胃癌
,
上部消化管内視鏡検査
,
遺伝医療
pp.824-827
発行日 2025年6月25日
Published Date 2025/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000002116
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Ⅰ.疾患の概要・頻度
腸型胃癌が胃癌全体の半数をやや超える程度を占めるのに対し,びまん性胃癌(diffuse gastric cancer:DGC)は1/3程度である1)。遺伝性びまん性胃癌(hereditary diffuse gastric cancer:HDGC)は,印環細胞癌(signet-ring cell carcinoma:SRCC)をはじめとした DGCの発生リスクが高いという特徴をもつ常染色体顕性遺伝(優性遺伝)病であり,女性では乳腺小葉癌(lobular breast cancer:LBC)の発症リスクの増加とも関連している。そのため,近年HDGCはびまん性胃癌および乳腺小葉癌症候群(diffuse gastric and lobular breast cancer syndrome:DGLBCS)とも呼ばれている2)。また,非腫瘍病変として口唇口蓋裂(cleft lip/palate)を伴う場合がある。HDGCはCDH1あるいはCTNNA1の生殖細胞系列病的バリアントが原因であり,DGC 患者の約7%でCDH1生殖細胞系列病的バリアントを保持していると報告されている3)。しかしながらこれは氷山の一角であろう。HDGCが見逃されている可能性があるなか,上部消化管内視鏡検査で多発褪色調病変を目にしたときにHDGCを疑うことが重要である。また,発端者および血縁家系員のケアには多職種連携によるチーム医療が不可欠である。

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