Japanese
English
特集 十二指腸・小腸疾患アトラス
Ⅰ.腫瘍,腫瘍様病変
化生や上皮性腫瘍
Brunner腺過形成
Brunner’s gland hyperplasia
中村 純
1,2
,
引地 拓人
1
,
橋本 陽
1,2
,
加藤 恒孝
1,2
,
栁田 拓実
1,2
,
高木 忠之
2
,
橋本 優子
3
,
大平 弘正
2
Jun Nakamura
1,2
,
Takuto Hikichi
1
,
Minami Hashimoto
1,2
,
Tsunetaka Kato
1,2
,
Takumi Yanagita
1,2
,
Tadayuki Takagi
2
,
Yuko Hashimoto
3
,
Hiromasa Ohira
2
1福島県立医科大学附属病院内視鏡診療部
2福島県立医科大学医学部消化器内科学講座
3福島県立医科大学医学部病理病態診断学講座
キーワード:
Brunner腺過形成
,
Brunner腺腫
,
十二指腸粘膜下腫瘍
Keyword:
Brunner腺過形成
,
Brunner腺腫
,
十二指腸粘膜下腫瘍
pp.456-457
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001308
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疾患の概要
Brunner腺は十二指腸に存在する外分泌腺であり,粘膜固有層深部から粘膜下層に存在する1)。重炭酸塩やペプシノーゲンⅡなどを含むアルカリ性で透明な粘液を分泌し,特に十二指腸の主乳頭より口側で発達し,主乳頭より肛門側になるほど小さくかつ数が少なくなる。Brunner腺過形成とは,異型のないBrunner腺が領域性をもって過剰に増生した病変である。平滑筋の隔壁によって分葉構造を呈するBrunner腺が結節状に増生することで,粘膜下腫瘍様の形態を呈する。病理組織学的特徴として,小葉構造が保たれていること,細胞増殖がほとんどないこと,正常導管と比較し細胞の成熟度が同じであることがあげられる。味岡ら2)は,「正常Brunner腺と明瞭な組織異形度の差異を認めない腺組織の増殖性病変」と組織学的に定義している。好発年齢は50~60歳台,男女比は1:1で,好発部位はBrunner腺の分布に相関して十二指腸球部である。無茎性から亜有茎性腫瘤の形態を呈し,頂部や側面に分泌腺開口部である陥凹面を認めることがある。また,大きな有茎性のものでは,分葉状・カリフラワー状などさまざまな形態を呈する。通常は無症状であるが,黒色便,貧血などの出血症状や悪心・嘔吐・腹部膨満などの消化管閉塞症状を伴うことがある。有症状もしくは腫瘤径が20mmを超える場合は切除を検討すべきとされる1, 3)。なお,Brunner腺腫の鑑別は,組織構築の乱れや核腫大などの組織形態像とKi-67染色を用いた細胞増殖能から可能であるとする報告もあるが2),実際には容易でない場合が多い。
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