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はじめに
悪性肝門部胆管狭窄(malignant hilar biliary obstruction:MHBO)に伴う閉塞性黄疸の治療として,ERCPによる経乳頭的な内視鏡的胆管ドレナージ(EBD)が第一選択として行われている。肝門部領域に広く腫瘍が進展している場合は,十分な減黄を得るために複数の胆管枝をドレナージする必要がある。金属ステントとプラスチックステントの進化やステンティング技術の普及により,肝門部胆管狭窄に対するマルチステンティングが行われている。しかし,プラスチックステントの3本以上の留置は難易度の高い手技であり,ステント交換もかなり煩雑である。金属ステントはプラスチックステントよりも良好な開存期間が報告されているが,ステント機能不全に対するre-interventionに難渋することも多い。近年,EUS下胆道ドレナージ(EUS-guided biliary drainage:EUS-BD)の普及と安全性の向上から,MHBOに対するEBDとEUS-BDの併用によるマネージメントや,金属ステント留置後のステント閉塞に対するEUS-BDを用いたre-interventionが試みられている1)。肝左葉の肝内胆管に対してはEUS下肝内胆管胃吻合術(EUS-guided hepaticogastrostomy:EUS-HGS)を行うことで直接ドレナージすることが可能である。しかし,肝右葉の肝内胆管ドレナージを行うには,EUS-HGSルートを利用して左肝内胆管と右肝内胆管に,ステントを橋渡しするように留置する必要があるが,胆管屈曲の角度が急峻な症例では困難である(本特集の他稿「肝門部胆管狭窄に対するEUS-HGS」参照)。そこでEUS-BDを用いた肝右葉の肝内胆管ドレナージの方法として,十二指腸と右肝内胆管に瘻孔を形成してドレナージを行う,EUS下肝内胆管十二指腸吻合術(EUS-guided hepaticoduodenostomy:EUS-HDS)が選択肢の一つとして報告されている2)。
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