特集 エイズの臨床 アップデート
Ⅶ.免疫再構築症候群
伊藤俊広
1
Toshihiro Ito
1
1独立行政法人国立病院機構仙台医療センター感染症内科医長/HIV/AIDS包括医療センター室長
pp.674-683
発行日 2016年4月15日
Published Date 2016/4/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201605062
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有効な抗HIV療法(ART)後に感染症や炎症が出現,再燃,増悪する病態を免疫再構築症候群(IRS)と呼ぶ。発生頻度は10%前後と報告され,免疫機能の急激な回復によって生じると考えられているが,診断基準や治療法は未だ確立されていない。ARTの継続下で感染症,炎症として対処(抗生剤,消炎鎮痛剤,副腎皮質ステロイドなど)するのが基本である。IRSを発症しやすい感染症として,ニューモシスチス肺炎,結核,非結核性抗酸菌症,サイトメガロウイルス感染症,クリプトコッカス髄膜炎などが知られており,ART開始前のこれらを含めた感染症や炎症性疾患の検査,治療,予防が有用である。