発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012175498
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46歳男。血友病Aのため使用した非加熱血液製剤でHIVに感染し、11年前から抗HIV治療を開始したが、各クラスに耐性を認め、CD陽性細胞数が減少しニューモシスチス肺炎を発症した。肺炎治療後にsanilvudine、darunavir、ritonavir、raltegravirによるサルベージ療法を開始し、効果良好でCD4陽性細胞数も増加した。病状は安定していたが、食欲亢進、動悸、下痢、頻尿、体重減少が順次出現し、甲状腺機能亢進症の所見を認め、抗TSH受容体抗体陽性、甲状腺シンチグラフィでのヨード摂取率亢進よりGraves病と診断し、有効な抗HIV治療に変更して約26ヵ月後に発症したことより免疫再構築症候群と考えられた。抗HIV治療は継続し、thiamazole(MMI)30mg/dayの投与を開始した。約2週間で自覚症状は改善し、その後再発はない。甲状腺機能をみながらMMIを減量し、7.5mg/dayとなった。抗TSH受容体抗体はMMI投与後も5ヵ月間は上昇したが、以後減少した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012