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特集 最近のトピックス2010 Clinical Dermatology 2010
1. 最近話題の皮膚疾患
免疫再構築症候群
Immune reconstitution inflammatory syndrome
平原 和久
1
,
塩原 哲夫
1
Kazuhisa HIRAHARA
1
,
Tetsuo SHIOHARA
1
1杏林大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology,Kyorin University School of Medicine,Mitaka,Japan
キーワード:
再構築症候群
,
後天性免疫不全症候群
,
帯状疱疹
Keyword:
再構築症候群
,
後天性免疫不全症候群
,
帯状疱疹
pp.14-17
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102567
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要約 HIV感染症に対するHAART療法は有効な治療法である反面,それによる免疫機能の回復は思いもよらぬ日和見感染症の顕性化を引き起こす.これは免疫再構築症候群(IRIS)と呼ばれ,HAART療法を施行した患者の約20%で生じる.IRISは,HAART療法開始前の免疫不全状態で増えていた病原体に対する免疫応答が,HAART療法により急速に回復する過程で生ずる過剰な炎症反応にほかならない.しかしIRISはAIDS患者のみで起こるわけではない.同様の病態は,ステロイドや免疫抑制剤の減量時に引き起こされる多くの感染症でも観察される.IRISとして生ずる疾患は,帯状疱疹,非結核性抗酸菌症,サイトメガロウイルス感染症,ニューモシスチス肺炎などの感染症のほか,サルコイドーシスなどの肉芽腫性疾患も含まれる.この病態は,免疫抑制状態でのみ発症すると考えられてきたさまざまな日和見感染症に対するわれわれの考えに,大きな転換を促す.
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