Japanese
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特集 食の安全と微生物汚染
5.食品のウイルス汚染とウイルス性食中毒
Viral contamination in foods and viral food poisoning
野田衛
1
Noda Mamoru
1
1国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部 第四室長
キーワード:
: ウイルス性食中毒
,
ノロウイルス
,
A型肝炎ウイルス
,
E型肝炎ウイルス
Keyword:
: ウイルス性食中毒
,
ノロウイルス
,
A型肝炎ウイルス
,
E型肝炎ウイルス
pp.55-62
発行日 2016年3月25日
Published Date 2016/3/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201604055
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食中毒の原因となるウイルスには,ノロウイルス(NoV),サポウイルス(SaV),ロタウイルス(RoV)等の胃腸炎ウイルスと,A型肝炎ウイルス(HAV),E型肝炎ウイルス(HEV)の肝炎ウイルスが存在する。HEVを除き,食中毒ウイルスの食品汚染の原因は感染者の便や嘔吐物である。ウイルス汚染のリスクがある食品は,食品取扱者から汚染される食品,カキなどの二枚貝,途上国からの輸入水産物,豚やイノシシの肝臓や肉などである。ウイルス性食中毒の大半はNoVが原因となっている。食中毒事件としてのHAVやHEVの報告は少ないが,食品媒介感染が疑われる事例は毎年少なからず報告されている。ウイルス性食中毒の予防法は,加熱調理に加え,徹底した手洗いと手袋の着用,施設,調理器具などの定期的な清掃・消毒,嘔吐物等の汚染物のすみやかで適切な処理,日常の健康管理など,感染症対策が重要である。