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特集 細菌の進化から考える抗菌薬耐性
9.異物排出タンパクによる多剤耐性 -異物排出タンパクの多様性と生理的役割-
Bacterial multidrug resistance mediated by multidrug efflux transporters
山口明人
1
,
中島良介
2
Yamaguchi Akihito
1
,
Nakashima Ryosuke
2
1大阪大学産業科学研究所 特任教授
2大阪大学産業科学研究所 特任准教授
キーワード:
異物排出タンパク
,
多剤耐性
,
X線結晶構造解析
,
マルチサイト結合
Keyword:
異物排出タンパク
,
多剤耐性
,
X線結晶構造解析
,
マルチサイト結合
pp.102-111
発行日 2013年12月25日
Published Date 2013/12/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201401102
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異物排出タンパクの過剰発現は病原細菌多剤耐性の大きな原因のひとつである。異物排出タンパクに対処できる臨床的に有効な治療薬のないことが化学療法上の問題になっている。異物排出タンパクは広く生物界に存在し,細胞レベルの生体防御機構を担っている。抗生物質による選択圧の下で異物排出タンパクの過剰発現株が生じると多剤耐性菌となる。異物排出タンパクはひとつの耐性因子のみで多剤耐性を起こすという特徴がある。近年,筆者の研究室(大阪大学産業科学研究所)を中心にグラム陰性細菌の異物排出タンパクのX線結晶構造が解かれ,異物排出機構と多剤を認識する原理が明らかになった。さらに既存の阻害剤との結合構造が解かれ,構造に基づく臨床に使える阻害剤の開発が可能になった。