海外に行くと言われたら-渡航前後の医学的問題について 帰国後に生じる問題を症候から考える
虫体の排出
倉井 華子
1
1静岡県立静岡がんセンター 感染症内科
キーワード:
回虫症
,
寄生虫疾患
,
条虫感染症
,
多節条虫亜綱
,
鑑別診断
,
ハエ幼虫症
,
皮膚疾患
,
旅行医学
,
輸入感染症
,
マダニ咬傷
Keyword:
Communicable Diseases, Imported
,
Ascariasis
,
Diagnosis, Differential
,
Cestoda
,
Cestode Infections
,
Parasitic Diseases
,
Myiasis
,
Skin Diseases
,
Travel Medicine
,
Tick Bites
pp.999-1002
発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2017209347
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渡航後の虫体排泄で相談を受けることはまれであろう.「虫が出た」という相談では,肛門から排泄される場合と皮膚から検出される場合に分かれる.肛門から排泄される寄生虫疾患では回虫,条虫が多い.いずれも世界中に分布する寄生虫である.虫体および虫卵の形態から鑑別することが可能である.皮膚から虫が出た場合はハエ幼虫症,ダニ咬傷の頻度が高い.いずれも虫の摘出が必要であり,ときに外科的切除を行う.ハエ幼虫症は南米からの帰国者に多く,ダニ咬傷はいずれの地域でも起こりうる.ダニ咬傷ではその後ダニ媒介性疾患を起こす場合があるため,発熱や皮疹などがあれば受診するように説明が必要である.
©Nankodo Co., Ltd., 2017