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特集 薬剤トランスポーター研究の最新動向と化学療法剤の動態
11.がんの多剤耐性にかかわる薬物排出トランスポーター
Drug efflux transporters involved in multidrug resistance in cancer cells
森田真也
1
,
寺田智祐
2
Morita Shin-ya
1
,
Terada Tomohiro
2
1滋賀医科大学医学部附属病院薬剤部 准教授
2滋賀医科大学医学部附属病院薬剤部 教授
キーワード:
多剤耐性
,
ABCトランスポーター
,
P-gp
,
MRP1
,
BCRP
Keyword:
多剤耐性
,
ABCトランスポーター
,
P-gp
,
MRP1
,
BCRP
pp.125-133
発行日 2015年2月25日
Published Date 2015/2/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201503125
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がん細胞の多剤耐性は,がん化学療法における大きな問題となっている。がん細胞の多剤耐性獲得におけるおもなメカニズムのひとつに,ABC(ATP〔アデノシン三リン酸〕結合カセット)トランスポーターであるP-糖タンパク質(P-gp)あるいは多剤耐性関連タンパク質1(MRP1)・乳がん耐性タンパク質(BCRP)の発現があげられる。ABCトランスポーターは細胞膜に存在し,ATPの加水分解エネルギーを利用して薬物を細胞外へ排出する。これまでに,がん細胞の多剤耐性克服を目的として,多くのP-gp阻害剤が開発されてきた。しかし,種々のがんに対する抗がん剤とP-gp阻害剤の共投与による臨床試験では良好な成績を得られておらず,承認には至っていない。薬物抵抗性がんに対する治療向上のために,がん細胞多剤耐性を克服する技術が望まれている。