特集 Drug delivery system(DDS)の最新展望
6.MENDで拓く遺伝子治療への道
佐藤悠介
1
,
中村孝司
2
,
山田勇磨
2
,
原島秀吉
3
1北海道大学大学院薬学研究院未来創剤学研究室
2北海道大学大学院薬学研究院医療薬学部門医療薬学分野薬剤分子設計学研究室
3北海道大学大学院薬学研究院医療薬学部門医療薬学分野薬剤分子設計学研究室教授
pp.1771-1775
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201407083
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遺伝子治療を実現するためには,機能性核酸を細胞内標的部位へ選択的かつ効率的に送達する技術が不可欠である。我々は,薬物の細胞内動態を自由に制御可能な送達システムとして,多機能性エンベロープ型ナノ構造体(Multifunctional Envelope-type Nano Device:MEND)の開発を進めてきた。MENDはウイルスベクターを模範として,細胞内取り込み過程,エンドソーム脱出過程,核やミトコンドリア(Mt)などのオルガネラ標的能の観点から技術革新を行い,治療への可能性が広がっている。本稿では,細胞透過性ペプチド(R8)を用いたR8-MENDの弱毒化ウシ型結核菌(BCG)膀胱がんワクチンへの応用,Mtという細胞内オルガネラへの遺伝子送達法の開発,静脈内投与型short interference RNA(siRNA)送達システムとして近年新たに開発に成功したYSK-MENDについて,最新の研究成果に基づいて解説する。