特集 Drug delivery system(DDS)の最新展望
7.脂質様サーファクタントから形成される中性ナノ粒子を基盤とした次世代型人工遺伝子ベクターの開発
秋田英万
1
1北海道大学大学院薬学研究院薬剤分子設計学研究室・准教授
pp.1777-1782
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201407089
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従来から用いられてきたカチオン性ベクターについて,その遺伝子発現効率を決定する律速段階を明らかとすべく,その細胞内動態をアデノウイルスと比較した結果,当初想定していた予想に反して,律速段階は細胞内動態にはなく,むしろ核に移行した後の過程にあることを見出した。また,その原因は,遺伝子導入に用いたカチオン性材料自身が,自らの輸送するDNAや細胞内のmRNAと静電的に相互作用することに起因することも見出している。筆者らは,本発見を基に,生理的条件で中性であり,かつ,細胞内で崩壊性を有するナノ粒子をデザインしている。本稿では,このような設計概念を実現するために開発した材料,脂質様サーファクタント(SS-cleavable and pH-activated lipid-like material:ssPalm)と,本材料から形成される遺伝子封入型中性ナノ粒子の応用について概説したい。