特集 今知っておきたいゲノム医療と遺伝子治療―基礎から臨床まで
各論
遺伝子治療 遺伝性網膜疾患に対する遺伝子治療
池田 康博
1
IKEDA Yasuhiro
1
1宮崎大学医学部眼科学
pp.349-353
発行日 2022年2月1日
Published Date 2022/2/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000070
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はじめに
われわれが取得する外界情報の約80%を得るために必要な視覚を失うことを「失明」とよぶが,失明によって日常生活が大幅に制限され,QOLが著しく低下してしまうことは容易に想像できるだろう。世界の中途失明原因の上位を占める疾患のうち,白内障や緑内障は,手術療法の進歩や点眼薬などの充実により,十分に治療可能な疾患となった。一方,本稿で紹介するレーバー先天盲(Leber’s congenital amaurosis:LCA)や網膜色素変性(retinitis pigmentosa:RP)に代表される遺伝性網膜疾患(inherited retinal diseases:IRDs)は,これまでに有効な治療法が確立されておらず,早期の治療法開発が望まれている。
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