高齢者の透析導入を再考する
後期高齢者における透析開始の適否判断
大平 整爾
1
1札幌北クリニック
キーワード:
意思決定
,
血液透析
,
個人的満足
,
腎不全-慢性
,
認知症
,
日常生活活動
Keyword:
Activities of Daily Living
,
Dementia
,
Decision Making
,
Kidney Failure, Chronic
,
Renal Dialysis
,
Personal Satisfaction
pp.31-39
発行日 2016年1月10日
Published Date 2016/1/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2016137498
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日本透析医学会統計によると,2013年に後期高齢者(75歳以上)の透析導入は13,865人で総導入患者の38.4%に相当した.一方,2013年12月末時点では,75歳以上の透析患者は92,519人で全患者数の30.3%と算出された.維持透析患者の3人に1人が後期高齢者ということになり,透析患者の高齢化を改めて痛感する.しかし,後期高齢者既導入患者のすべてが自覚的・他覚的に必ずしも望ましいADL(日常生活動作)やQOL(生命の質)を得ているわけではないことも知られている.当該患者について,後期高齢者の平均余命を勘案しつつ,慢性腎不全のほかの重大な臓器障害の存在や患者性格の透析療法への適合性などが慎重に検討されなければならない.CKD 2(eGFR 60~89 mL/min/1.73 m2)またはCKD 3(eGFR 30~59 mL/min/1.73 m2)の病期から保存療法を地道に継続できている患者であれば,そのままそれを継続し,単にある一定の数値をもって「透析導入」と短絡することは得策ではない.
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