特集 大腸癌のスクリーニングとサーベイランスの標準化に向けて─ 新しい知見から
Ⅰ.スクリーニング(4)大腸内視鏡を用いた大腸癌スクリーニングの研究 b.新島/大島スタディ
松田 尚久
1,2,3
,
角川 康夫
1,2
,
堀田 欣一
4
,
池松 弘朗
5
,
関口 正宇
1,2,3
,
坂本 琢
2
,
今井 健一郎
4
,
古賀 宣勝
6
,
斎藤 豊
2
,
新島/大島 Study Workgroup
1国立がん研究センター中央病院検診センター
2国立がん研究センター中央病院内視鏡科
3国立がん研究センター社会と健康研究センター検診開発研究部
4静岡県立静岡がんセンター内視鏡科
5国立がん研究センター東病院消化管内視鏡科
6国立がん研究センター先端医療開発センター
キーワード:
大腸癌
,
スクリーニング
,
全大腸内視鏡検査
,
便潜血検査免疫法
,
新島スタディ
,
大島スタディ
Keyword:
大腸癌
,
スクリーニング
,
全大腸内視鏡検査
,
便潜血検査免疫法
,
新島スタディ
,
大島スタディ
pp.33-41
発行日 2021年5月20日
Published Date 2021/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000546
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われわれのグループで行った,全大腸内視鏡検査(TCS)を用いた二つの研究について概説する.新島スタディでは,研究開始前の1年間(毎月1回),スクリーニング(検診)の重要性やTCSのメリットについて解説したリーフレットを対象者に配布し,啓発活動を行った.この教育的なキャンペーンが,高い累積受診率とTCS選択割合に繫がったものと推察された.大島スタディでも,新島スタディと同様に,スクリーニングTCSの高い病変検出力と安全性が示された.便潜血検査免疫法(FIT)については,浸潤癌に対するスクリーン感度は100%であったが,advanced neoplasiaでは31.7%にとどまり,とくに近位大腸では16.7%と低下した.検診プログラムはスクリーニングの反復が前提であり,定期的な受診の徹底によりプログラム感度を向上させることが求められる.本邦では,対策型大腸がん検診の手法として,TCSは未だ推奨されていないが,将来的に,FITと共にプライマリー・スクリーニングモダリティとして活用されることに期待したい.
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