特集 大腸癌のスクリーニングとサーベイランスの標準化に向けて─ 新しい知見から
Ⅰ.スクリーニング(3)内視鏡スクリーニングによる大腸癌死亡リスク減少への期待
野崎 良一
1
,
山田 一隆
1
1大腸肛門病センター高野病院消化器内科
キーワード:
大腸がん検診
,
S状結腸鏡検査
,
全大腸内視鏡検査
,
有効性
,
ランダム化比較試験
,
観察研究
Keyword:
大腸がん検診
,
S状結腸鏡検査
,
全大腸内視鏡検査
,
有効性
,
ランダム化比較試験
,
観察研究
pp.21-27
発行日 2021年5月20日
Published Date 2021/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000544
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大腸内視鏡検査のなかでS状結腸鏡検査(FS)の有効性はランダム化比較試験(RCT)で明らかになっている.RCT 4研究のメタアナリシスから,FSを1回受けることで大腸癌死亡リスクが大腸癌全体で46%,遠位大腸癌で66%減少する.罹患リスクは全大腸癌で35%,遠位大腸癌で49%減少する.近位大腸癌は死亡,罹患ともにリスク減少はみられないが,全死因の死亡リスクが2%減少する.FSの有効性は10年間以上継続する.全大腸内視鏡検査(TCS)の有効性は,複数の観察研究から強く示唆される.五つのRCTが国内外で進行中である.最近の観察研究で近位大腸癌の死亡および罹患リスク減少が示されるようになった.しかし,遠位大腸癌に比べて近位大腸癌の有効性は低い.米国においては,10年に1回のTCSが大腸がん検診の主流となっている.英国では隔年の便潜血検査に加えて55歳で1回だけのFSが組織検診として行われている.両国とも右肩下がりで大腸癌死亡率が減少している.わが国でも両国のように大腸癌死亡率を減少させるためには,対策型大腸内視鏡検診を導入すべきである.
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