特集 全身性疾患における腸管病変─腸管ベーチェット病とその鑑別疾患
Ⅳ.腸管ベーチェット病の鑑別疾患(1)単純性潰瘍・trisomy 8 の腸病変─腸管ベーチェット病との異同
冬野 雄太
1
,
平野 敦士
1
,
梅野 淳嗣
1
,
藤岡 審
1
,
森山 智彦
1
,
鳥巣 剛弘
1
,
江﨑 幹宏
2
1九州大学大学院医学研究院病態機能内科学
2佐賀大学医学部附属病院光学医療診療部
キーワード:
trisomy 8
,
単純性潰瘍
,
腸管ベーチェット病
,
骨髄異形成症候群
,
打ち抜き潰瘍
Keyword:
trisomy 8
,
単純性潰瘍
,
腸管ベーチェット病
,
骨髄異形成症候群
,
打ち抜き潰瘍
pp.499-504
発行日 2019年11月20日
Published Date 2019/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000415
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腸管ベーチェット病(BD)の鑑別疾患として,単純性潰瘍(SU)やtrisomy 8に合併する腸病変が挙げられる.SU は,腸管BD の定型病変である回盲部の円形または類円形の打ち抜き・下掘れ潰瘍を呈するものの完全型ないし不全型BDの基準を満たさない症例に用いられる形態学的な呼称である.BD 疑いにとどまる症例はSU の範疇に入るため,そのような症例では抗TNFα抗体製剤の保険適用が得られず投与できないなどの課題が残る.また,trisomy 8 陽性の骨髄異形成症候群において,腸管BD/SU に酷似した打ち抜き・下掘れ潰瘍を呈する症例が存在し注目を浴びている.内視鏡所見に明確な差はないものの,内科的治療に対する反応性が大きく異なる可能性が示唆されている.
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