回盲部潰瘍性病変
腸管ベーチェット病と単純性潰瘍の異同 違うとする立場から
高木 靖寛
1
,
平井 郁仁
,
矢野 豊
,
古賀 章浩
,
松村 圭一郎
,
長浜 孝
,
久部 高司
,
松井 敏幸
,
岩下 明徳
,
原岡 誠司
,
池田 圭祐
,
田邊 寛
,
二見 喜太郎
,
前川 隆文
1福岡大学医学部附属筑紫病院 消化器内科
キーワード:
Behcet症候群
,
大腸内視鏡法
,
消化器外科
,
腸疾患
,
回盲部
,
単純性潰瘍
Keyword:
Behcet Syndrome
,
Colonoscopy
,
Intestinal Diseases
,
Digestive System Surgical Procedures
pp.387-394
発行日 2013年7月20日
Published Date 2013/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/J05332.2013320008
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当科における単純性潰瘍(SU)もしくは腸管ベーチェット病(BD)と診断された27例を,ベーチェット病確診(definite BD;DBD)群,ベーチェット病疑い(suspected BD;SBD)群,非ベーチェット病(non-BD;NBD)群に分けて見直し,各群の頻度,消化管病変の分布と性状,臨床経過について検討した.その結果,(1)各群の頻度はNBD 5例(19%),SBD 12例(44%),DBD 10例(37%)でNBDは低頻度であった.(2)各群ともに高頻度で回盲部の定型的病変を認めたが,NBD群の80%が回盲部に限局するのに対し,SBD,DBD群は回盲部限局が42%,30%と少なく,回盲部以外の食道,回腸,大腸にも多発する症例が認められた.(3)経過中にNBDからBD症状を発症したものはなかったが,SBD,DBDの各1例群で病型の進展が認められた.(4)NBD群の手術率は3例60%で,これらは全例が再手術を受けていた.SBD,DBD群の手術率は9例41%で,これらの再手術率は56%であった.以上から,各群ともに回盲部に好発するが,NBDは頻度が低くBD症状を発症するものはまれで,回盲部に限局するのに対し,SBD,DBDは回盲部以外にも多発する可能性や病型の進展するものがありNBDとSBD,DBDの間で病態が異なる可能性が示唆された.
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