特集 小腸の炎症性病変を見直す
Ⅱ.各論 ( 1 )腸管ベーチェット病・単純性潰瘍の病態と診断
林田 真理
1
,
久松 理一
1
1杏林大学医学部第三内科
キーワード:
腸管ベーチェット病
,
単純性潰瘍
,
コンセンサス・ステートメント
Keyword:
腸管ベーチェット病
,
単純性潰瘍
,
コンセンサス・ステートメント
pp.499-505
発行日 2017年11月20日
Published Date 2017/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000112
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ベーチェット病(BD)は,① 再発性口腔内潰瘍,② 眼症状,③ 皮膚症状,④外陰部潰瘍を4 大主症状とする全身性の原因不明の炎症性疾患であり,腸管BDは特殊型に分類される.腸管BD の診断には,まず厚生労働省ベーチェット病研究班診断基準で完全型もしくは不全型BD と診断されることが前提であり,腸管BD の典型的病変を呈していても,BD 診断基準を満たさない場合は,腸管BD 疑いまたは単純性潰瘍(SU)と診断する.腸管BD とSU の病態は解明されておらず,内視鏡所見,病理組織学的所見で鑑別することは困難である.腸管BD の治療はコンセンサス・ステートメントの改訂ごとに更新され,2013 年度改訂版ではTNF-α抗体製剤(ADA,IFX)が標準治療と明記された.腸管BDの潰瘍は穿孔や出血のリスクや,術後再発率も高いことから,生命予後不良因子の一つと考えられており治療ストラテジーの確立が急務である.現在,実地医家のための新たな診療ガイドライン作成プロジェクトが進行している.
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