特集 FIT 陰性癌の特徴
Ⅳ.FIT 陽性癌,FIT 陰性癌の特徴
若村 邦彦
1
,
工藤 進英
1
,
森 悠一
1
,
三澤 将史
1
,
工藤 豊樹
1
,
林 武雅
1
,
澤田 成彦
1
,
馬場 俊之
1
,
石田 文生
1
1昭和大学横浜市北部病院消化器センター
キーワード:
免疫便潜血検査
,
便潜血検査陰性大腸癌
,
大腸がん検診
,
大腸内視鏡スクリーニング
Keyword:
免疫便潜血検査
,
便潜血検査陰性大腸癌
,
大腸がん検診
,
大腸内視鏡スクリーニング
pp.423-428
発行日 2019年9月20日
Published Date 2019/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000396
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免疫便潜血検査(fecal immunochemical test;FIT)は,簡易的で非侵襲的な検査である.また,大腸癌の死亡率を減らすとのエビデンスが多数存在し,大腸癌スクリーニング法として広く用いられている.しかし,FIT の精度は完全ではなく,切除を要する大腸癌の一部は見逃されてしまう.また,FIT 陰性患者の多くは,大腸内視鏡を受けないため,FIT に反応しない大腸癌の特徴についての報告は少ない.われわれの前向きコホート研究は,2007 年1 月から2009 年12 月までの間で,当センターを大腸内視鏡目的で受診し同意の得られた1,592名の患者を対象とした.内視鏡検査前に1 日法FIT を施行し,FIT 陰性群と陽性群に分け,それぞれの大腸癌の特徴を比較検討した.本研究では,FIT 陰性大腸癌の局在や肉眼形態に有意差が得られなかったが,腫瘍径は小さく,粘膜内癌の割合が高いことより,内視鏡的治療で根治可能な状態で発見される可能性が高いと考えられた.その反面,FIT 陰性T1 以深癌は予後が悪く,大腸がん検診における内視鏡検査の重要性が示唆された.
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