特集 FIT 陰性癌の特徴
Ⅰ.FIT 開発の歴史と現状(1)免疫便潜血検査(FIT)の開発から有効性評価まで,そして現状と問題点
斎藤 博
1
1青森県立中央病院消化器内科
キーワード:
免疫便潜血検査
,
大腸がん検診
,
抗ヒトヘモグロビン抗体
,
糞便中生理的ヘモグロビン
Keyword:
免疫便潜血検査
,
大腸がん検診
,
抗ヒトヘモグロビン抗体
,
糞便中生理的ヘモグロビン
pp.395-402
発行日 2019年9月20日
Published Date 2019/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000392
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大腸がん検診はグアヤック法による低感度の化学便潜血検査(化学法)の使用により端緒が開かれた.化学法の欠点は特異度が低く,したがって感度も低くせざるをえないことであった.このような化学法の欠点を解消する感度・特異度の高い大腸がん検診法として免疫便潜血検査(FIT)が開発された.FIT の研究は抗ヒトヘモグロビン(Hb)抗体の特異性や糞便中「生理的」Hb などに関する基礎的研究,さらにはFIT による検診プログラム開発とその有効性評価まで,日本で研究が行われ,大腸がん検診法として確立した.FIT はその方法論がほとんど共有されずに用いられているが,高い特異度の確保には抗ヒトHb 抗体の要件や糞便中生理的Hb の存在とカットオフ値の関連性を知る必要がある.なお,日本ではFIT の感度が過小評価され,その多くは偽陰性の定義の誤用,つまりスクリーン感度とプログラム感度の混同によるもので,正しい理解が必要である.
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