TOPICS ─文献紹介〈炎症・腫瘍関連*〉
クローン病患者の小腸狭窄に対する内視鏡的バルーン拡張術の有用性─ 多施設前向きオープンラベル観察試験〔Review from ─ J Crohns Colitis 2018;12:394-401〕
平井 郁仁
1
1福岡大学筑紫病院炎症性腸疾患センター
キーワード:
クローン病
,
内視鏡的バルーン拡張術
,
小腸狭窄
,
バルーンアシスト下小腸内視鏡
,
多施設前向きオープンラベル観察試験
Keyword:
クローン病
,
内視鏡的バルーン拡張術
,
小腸狭窄
,
バルーンアシスト下小腸内視鏡
,
多施設前向きオープンラベル観察試験
pp.87-90
発行日 2019年1月20日
Published Date 2019/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000302
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内視鏡的バルーン拡張術(endoscopic balloondilation;EBD)は炎症性腸疾患に限らず,各種の消化管狭窄に対して行われている狭窄解除法である.本稿ではクローン病(Crohn’s disease;CD)の小腸狭窄に対して行われているEBD に焦点を絞って行った多施設前向き研究の論文について解説する.なお,著作権の観点から論文に用いた図表は提示しておらず,詳細は実際の英文原著を確認していただきたい. EBD は,CD 患者の小腸狭窄に対する外科手術の代替手段である.しかしながら,小腸狭窄に対するEBD の有効性は後ろ向きの単一施設のコホート研究しか報告がなかった.バルーンアシスト下小腸内視鏡(balloon assisted enteroscopy;BAE)の歴史は,本邦の山本先生が開発したダブルバルーン内視鏡から始まっている.したがって,本邦ではこのモダリティーを用いた内視鏡診断・治療が汎用されており,この領域では日本が世界のトップランナーである.CD の小腸狭窄に対するEBD も実臨床で盛んに行われ,その成績もほとんどが日本から発信されている土壌がある.そこで,本内視鏡治療の意義を明らかにし,新たなエビデンス構築を目的とし,多施設前向きオープンラベル観察試験を厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班(以下,研究班)の主導で行うに至った.
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