特集 炎症性腸疾患の粘膜治癒を考える
Ⅲ. 組織学的粘膜治癒の診断基準を考える
太田 敦子
1
,
岩下 明德
1
,
田邉 寛
1
,
金城 健
1
,
池園 剛
1
1福岡大学筑紫病院病理部
キーワード:
炎症性腸疾患
,
粘膜治癒
,
組織学的粘膜治癒
,
潰瘍性大腸炎
,
クローン病
Keyword:
炎症性腸疾患
,
粘膜治癒
,
組織学的粘膜治癒
,
潰瘍性大腸炎
,
クローン病
pp.371-378
発行日 2018年7月20日
Published Date 2018/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000222
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組織学的粘膜治癒の概念は,炎症性腸疾患の治療目標が従来の臨床症状の改善から内視鏡的な粘膜治癒に移行したことによって注目されたが,組織学的所見は炎症性腸疾患の治療目標には考慮されず,組織学的粘膜治癒については明確な定義がないとされている.2014 年に組織学的寛解の目標として,① 好中球の消失(上皮内および粘膜固有層内のいずれにも),② 粘膜固有層深部の形質細胞の消失と正常範囲内の形質細胞数,③ 正常範囲内の粘膜固有層内の好酸球数,が提唱されている.形質細胞や好酸球は慢性炎症細胞として正常の腸管にも存在するため,その役割や判定方法などは不明な点が多く,本稿では,現段階としては好中球浸潤の消失のみをその条件とした.潰瘍性大腸炎では組織学的粘膜治癒と良好な臨床経過の関連性も指摘されており,将来的に治療目標の一つとされる可能性もある.組織学的粘膜治癒の定義の確立が望まれる.
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