特集 炎症性腸疾患の粘膜治癒を考える
Ⅰ.総論─ 炎症性腸疾患における粘膜治癒の定義と臨床的意義
梁井 俊一
1
,
松本 主之
1
1岩手医科大学内科学講座消化器内科消化管分野
キーワード:
treat-to-target
,
粘膜治癒
,
抗TNF-α抗体製剤
,
潰瘍性大腸炎
,
クローン病
Keyword:
treat-to-target
,
粘膜治癒
,
抗TNF-α抗体製剤
,
潰瘍性大腸炎
,
クローン病
pp.311-317
発行日 2018年7月20日
Published Date 2018/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000212
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炎症性腸疾患において生物学的製剤は必須の治療法となった.とくに,抗TNF-α抗体製剤の登場により炎症性腸疾患の治療戦略は大きな変化を遂げ,従来の治療目標であった症状改善から,消化管病変の瘢痕化,すなわち粘膜治癒や消化管機能の回復を目標とする治療が推奨されるようになった.このような,治療目標を個別化した考え方が,treat-to-target という概念で提言されている.なかでも,粘膜治癒を目指すことで,再発予防や外科的切除の回避など,きわめて良好な長期予後が得られることが示されている.一方で,粘膜治癒自体の定義が未だ明確ではない点は今後の重要な課題と思われる.
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