TOPICS ─文献紹介〈腫瘍関連〉
microRNA メチル化パネルを用いた潰瘍性大腸炎癌化リスク診断〔Review from ─ Gastroenterology 2017;153:1634-1646.e8〕
問山 裕二
1,5
,
奥川 喜永
1,5
,
田中 光司
1
,
荒木 俊光
1
,
内田 恵一
1
,
菱田 朝陽
2
,
内野 基
3
,
池内 浩基
3
,
廣田 誠一
4
,
楠 正人
1
,
C Richard Boland
5
,
Goel Ajay
5
1三重大学大学院医学研究科消化管・小児外科学
2名古屋大学大学院医学系研究科予防医学
3兵庫医科大学病院炎症性腸疾患外科
4兵庫医科大学病院病理診断科
5Center for Gastrointestinal Research, Translational Genomics and Oncology, Baylor Scott & White Research Institute and Charles A Sammons Cancer Center, Baylor University Medical Center
キーワード:
潰瘍性大腸炎
,
潰瘍性大腸炎関連大腸癌
,
DNAメチレーション
Keyword:
潰瘍性大腸炎
,
潰瘍性大腸炎関連大腸癌
,
DNAメチレーション
pp.379-382
発行日 2018年7月20日
Published Date 2018/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000223
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潰瘍性大腸炎(UC)の癌化のメカニズムを解明し,精度の高い癌合併リスク診断マーカーを確立することは,新たなサーベイランスプロトコールとして期待される.Issa らはaging とともにDNA メチル化が起こり(epigenetic drift),発現が抑制される遺伝子(ER,MYOD,p16 exon 1,CSPG2)の存在を明らかにした.とくにER のメチル化は,癌非合併UC 患者に比べ癌合併UC患者の非腫瘍性粘膜において有意に高率であることが示され(fi eld eff ect),UC の癌合併高リスク症例の診断マーカーになりうることが報告された.UC は直腸から口側に炎症が拡がる病態とされ,直腸の慢性炎症の蓄積は他の大腸部位に比べ高いことが推測される.また慢性炎症による腸管粘膜細胞の再上皮化は,腸管老化を誘発すると考えられる.今回,aging に関わるmicroRNAs(miR-1,-9,-124,-137,-34b/c)のDNA メチル化異常に着目し,UC 粘膜(とくに直腸粘膜)におけるメチル化レベルを定量し,それらが新たな癌合併高リスク群患者を抽出できるか検討した.
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